海外で大規模に進められている「音楽カタログ(過去のヒット曲群の権利)の買収ビジネス」が、日本国内でも本格的なうねりを見せています。独立系資産運用会社「アストライズ・キャピタル」は本日、国内初となる、日本の大物アーティストの楽曲原盤権および著作権を専門的に取得・運用する音楽投資プライベート・エクイティ・ファンド「Astraea Music Fund I」を組成したと発表しました。
ストリーミングが生み出した「毎月安定して発生する印税収入」
かつての音楽ビジネスは、新曲のCDリリース時期に売上のピークが集中し、数年が経過すると売上は極端に減少する「一過性のヒットビジネス」でした。しかし、SpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービス(サブスクリプション)が社会全体に定着した結果、昭和や平成の往年のヒット曲(いわゆるカタログ楽曲)が、毎月かつ長期的に安定した再生回数とロイヤリティを生み出す「インカムゲイン型資産」へと変貌を遂げました。
本ファンドの投資モデルと狙いは以下の通りです:
- 大物アーティストの権利買収と創作者へのリタイアメントプラン ベテランのシンガーソングライターや作詞・作曲家に対し、将来発生するであろう数十年の印税収入を『一括のまとまった資金』として前払いで支払うことで権利を譲り受けます。これにより、創作者は自身のキャリアの晩年におけるセカンドライフ資金や、次の創作プロジェクトの超大口原資を即座に手に入れることができます。
- マーケティングによるカタログ再活性化 ファンド側は買い取った楽曲を単に保有するだけでなく、TikTokでの動画拡散キャンペーン、テレビ番組・Web動画への積極的な二次利用(ライセンス)、海外のカバーアーティストによるリメイクプロデュースなどを通じて、再生数を再び劇的に活性化(リバイバルヒット)させ、アセット価値を最大化します。
- 機関投資家への安定配当 音楽権利の価値変動は、株式市場や不動産市場の景気動向とほとんど相関しないオルタナティブ投資先として注目されており、年金基金やファミリーオフィスなどから「安定した配当を生む新しい投資先」として高評価を得ています。
日本ならではの「権利複雑性」という障壁
一方で、欧米と比べて日本の音楽業界は、レコード会社、芸能事務所、音楽出版社、管理団体(JASRACなど)の間で権利が細かく分散して保有されているケースが多く、買収の調整には高度な法務交渉ノウハウが求められます。
アストライズ・キャピタルの担当者は記者会見で、「我々は単なる冷徹な投資家ではなく、アーティストの魂である楽曲の歴史的価値を深く理解し、それを次世代のグローバルなリスナーへと届けるための『良き管理人』を目指します。このファンドを通じて、眠っていたJ-POPの金字塔たちが、世界中で新たな価値を放ち始めるはずです」と熱意を見せています。