ヘッドホンやスマートフォンで急速に普及が進む「空間オーディオ(3Dオーディオ)」の感動を、生身のライブ空間で何百人もの観客と同時に共有できる次世代のエンターテインメント施設が誕生しました。音響大手の「ソニア・サウンド」とライブハウス運営企業「スピーカーズ・グループ」は本日、東京・渋谷のど真ん中に、日本初となる空間オーディオ専用設計の次世代ライブハウス「Sonic Sphere Tokyo(ソニック・スフィア・トウキョウ)」をグランドオープンしました。
128基のスピーカーが観客を全方位から包み込む
「Sonic Sphere Tokyo」の内部は、従来のライブハウスのような「前方にステージがあり、そこから音が前方に向かって飛んでくる」構造とは全く異なります。
ドーム状に設計された劇場の壁面、天井、そして床下を含めた全方位に、合計128基の高性能アクティブスピーカーがグリッド状に埋め込まれています。独自のリアルタイム空間音響エンジニアリングシステム「S-Sphere 3D」により、以下のような驚異のライブ演出が可能になりました。
- 音像の動的リアルタイム移動 ギタリストがソロパートを弾きながらステージを右から左へ移動すると、そのギターの「音」自体が、観客の頭上をぐるりと円を描くように音速で駆け抜けていきます。ボーカルのハミングが観客一人ひとりのすぐ耳元でささやくように定位し、次の瞬間には背後から包み込むように広がります。
- 三次元マルチソースシンセシス ドラムのキック音は床下から地響きのように身体を揺らし、ハイハットは天井から火花のように降り注ぎ、シンセサイザーのメロディはドーム空間を縦横無尽に浮遊します。音ごとに割り当てられた三次元の座標位置(オブジェクト)を、DJやPAエンジニアがタッチパネルで直感的にコントロールします。
- ハイブリッドなバーチャル空間シミュレーション 音響のデジタル処理により、室内の「残響特性(エコー)」を瞬時に変更可能。コンパクトなライブハウスにいながらにして、「巨大な大聖堂」「スタジアム」「あるいは宇宙空間」の響きを物理的に再現します。
「生演奏」と「デジタルアート」の完全融合
オープニングイベントには、国内外で活躍する先鋭的な電子音楽アーティストやポストロックバンドが出演。電子ドラムやシンセサイザー、生楽器の音が立体的な三次元空間アートとして再構築され、同期された壁面のLEDグラフィックスと相まって、観客はまるで「巨大なシンセサイザーの内部に迷い込んだかのような」トランス状態と深い没入感に包まれました。
ソニア・サウンドの音響開発ディレクターは、「これまで、空間オーディオはイヤホンの中だけの『パーソナルな体験』に留まっていました。しかし、私たちは音楽の原点である『ライブの熱量』と『身体に浴びる音圧』を組み合わせることで、これまでにない集団的な超没入体験を作れると確信していました。Sonic Sphere Tokyoは、未来の音楽表現のための巨大な楽器そのものなのです」と胸を張ります。
ストリーミング市場での「聴き流す」音楽が増える一方で、生ライブの「唯一無二の体験価値」に対する需要はかつてないほど高まっています。このリアル3D音響ライブハウスは、アーティストに無限の表現領域を提供するとともに、ライブビジネスの新たな付加価値モデルを確立することになりそうです。