放送業界

民放主要5局、地上波と配信を統合した「統合アドプラットフォーム」の共同設立に合意

2026/05/19
放送ビジネスインサイト
ビジネス分析記事
テレビ東京、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビの主要5局が、番組見逃し配信サービス「TVer」および地上波デジタル放送の双方に向けた、共通ターゲティング広告の予約・配信を行う「テレビ広告配信共有システム」を立ち上げる。

テレビCMビジネスが、デジタル広告との完全融合に向けた歴史的一歩を踏み出します。民放主要キー局5社は本日、地上波リアルタイム放送のCM枠と、番組見逃し配信サービス「TVer」のデジタル広告枠をシームレスに売買・配信できる共通の統合アドプラットフォーム「TV-Bridge(テレビブリッジ)」を共同で設立することに合意しました。

デジタル勢に流れる広告費を取り戻す一手

インターネット広告市場(Google、Meta、YouTube等)が拡大し続ける中、テレビ業界は「広い認知力を持つものの、広告ターゲットの絞り込み(ターゲティング)や効果測定が曖昧」という長年の課題に苦しんでいました。さらに若年層のテレビ離れに伴い、スポットCMの出稿減退が深刻化していました。

今回設立が合意された「TV-Bridge」は、以下の仕組みによって広告主への訴求力を高めます:

  1. ワンストップ・プログラマティック買付 広告主はスマートフォンのダッシュボードから、地上波の特定の曜日・時間帯のCM枠と、TVerでその番組が配信される際のアドインサート枠を、一括かつ自動で予約・買い付けできるようになります。
  2. 高度な視聴者識別データ(1st Party Data)の活用 各局の配信アプリやTVerのログイン会員データ、さらにスマートテレビの視聴ログ(オプトイン取得済みのB-CAS/A-CASデータ)を横断的に解析。世帯の興味関心に合致したパーソナライズ広告をリアルタイムに配信します。
  3. 効果の可視化(アトリビューション分析) テレビCMを見た視聴者が実際に店頭へ足を運んだか、またはスマートフォンで商品を検索したかといった購買行動への寄与度を、提携するクレジットカード会社や地図アプリの匿名化位置データと連携して可視化します。

市場シェア拡大と独占禁止法への考慮

これまで民放各局は、それぞれの広告販売子会社を通じて顧客を囲い込む「囲い込み競争」を展開してきました。しかし、プラットフォーマーに対抗するためには、業界の強みである「安心・安全な高クオリティコンテンツ」という共通資産を最大活用すべきだという判断に至りました。

公正取引委員会の幹部は、「共通プラットフォームの立ち上げが不当な広告料金の高止まりを招かないよう、参入機会の公平性や競合他社のアクセス権利について、運用指針を継続的に注視していく」としており、運用開始にあたっては透明性の確保が義務付けられます。

本アドプラットフォームは、2026年10月の番組改編期からの本格運用開始を目指しており、年間1,000億円規模の広告取引を見込んでいます。

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